重度意識障害(昏睡)患者のリハビリ
【疑問】なかなか意識レベルが回復しない患者さん。
・ベッドの機能を使用して座位にしてみたり、車椅子移乗してみたり…どのような効果があるの?
・自分たちが声をかけるのは当たり前として、家族の面会じなどに馴染みの音楽を流したり、家族に声かけしてもらったり…声は届いているのだろうか?
このようなことを考えるのは、私だけではないと思う。
意識障害とは?
意識障害を考えるとき、そもそも意識って何って話になる。難しい話はなしにして、意識というのは自分自身や自分以外のことを認識することである。
意識障害の分類の一例
coma : 昏睡 意識がなく、覚醒もしていない
vegetative state : 植物状態 意識はないが、覚醒している
minimally conscious state : 最小意識状態
minimally conscious stateとは、単純な命令に従う、イエス・ノーが表示できる、理解可能な発語ができる、合目的な行動ができるの4項目のうち1項目以上が存在する状態をさす。中には、一見vegetative stateに見えてもminimally conscious stateの患者がいたりもする。
実は植物状態じゃなかった
ここで、面白い報告をみつけたので見ていただきたい。
この報告では、vegetative stateの患者の脳活動をfMRIで観察したところ、指示に沿った思考パターンが観察できたということだ。
以前には、植物状態であっても刺激によって脳活動に変化が生じるということはわかっていたが、この報告により、外界を認識している状態である『意識がある』という可能性を発見できたということだろう。
閉じ込め症候群や重度のALSなどで全身麻痺状態となってもアイコンタクトは可能である場合があるが、この報告で明らかになったのはvegetative stateに内在される究極の閉じ込め症候群といえるだろう。
次に、この報告を見てみたいと思う。
イントロダクションから驚いたのだが、vegetative stateと診断された患者にfMRIを実施したところ43%が実はminimally conscious stateだっとという報告があるようだ。
しかし、MRIには禁忌もあるし、時間もコストも…といことで、この研究では脳波を使って診断できないかと考えた。
vegetative stateと考えられた患者と健常人の脳波を取りながら、右手を動かすイメージをしてください…足の指を…と指示したところ、19%の患者で健常人と同じ脳波のパターンを示し、意識があるという判定になった。
コミュニケーションが取れる可能性
植物状態だと思った患者が実は外界を認識している可能性があるとなると、程度はわからないが、それに気づいてもらえた患者にとっても、家族にとっても大きな発見というか意味のあることなのではないかと思う。
脊髄損傷の患者で瞬目でイエスノークエスチョンでコミュニケーションをとるように、脳波のパターンを見ながらminimally conscious stateの患者とコミュニケーションをとることが可能なのかもしれない。
そういうものがあるのか?そこまでは調べていないが…
本題から逸れてしまったが、引き続き意識障害について考えていきたいと思う。