今日から使える医療統計 著:新谷歩
統計って難しいイメージありますよね。
必要なのはわかるんだけど、なんか上手に咀嚼できない。消化不良。
統計に関する本は何冊か読んだし、
論文のデータを眺めたりもしてみた。
そうこうしてるとなんとなくわかってきたような気がしてきた。
そう。気がしてただけだった。
今回紹介する本は、
もしかしたら凄く初心者というよりは、
初心者に毛が生えた程度のほうがわかりやすのかもしれない。
筆者の先生のユーモアというかセンスがにじみ出ている。
とても参考になる一冊。
- 作者: 新谷歩
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2015/04/20
- メディア: 単行本
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週刊医学会新聞で連載されていたみたいです。
とある看護大学院生の1日
パターンA 仕事をしている人
Aさんは仕事をしながら大学院に通っている。長期履修制度を利用し3年で卒業するつもりだ。
Aさんの仕事は平日の日中のため、夜間に講義が多い大学を選んだ。
月曜日〜金曜日
朝7時に起床し、職場に向かう。
17時に仕事が終わり、大学院に移動。
講義を受け、その後研究室でレポートに取り組む。
深夜0時に帰路につく。ご飯を食べて寝る頃には2時を回っている。
土曜日
朝8時に起床し、大学院に向かう。講義を受け、ひたすらレポート、研究の繰り返し。
あっけなく時間は過ぎ去り、深夜0時いつものように帰路につく。
就寝は3時頃になることが多い。
日曜日
この日は1週間のうちゆっくりする日と決めている。
朝11時ごろ起床し、洗濯や掃除などを行う。
夕方頃には大学にいき22時ぐらいに帰路につく。1週間で一番大学にいる時間が少ない日である。
さて、大学院生Aさんの1週間をご紹介したが、如何だっただろうか。辛そうと思う人もいれば、そんなに時間を使えていいなって人もいると思う。
Aさんは独身であるため、時間を自由に使い、掃除や洗濯もまとめてOKだ。ただ、これで家庭があるとかそういったことが起こると大変かもしれない。勿論、支えてもらえるならばいいのだが。
Aさんには夜勤がないが、看護師の多くは夜勤があるため、これよりもスケジュールは過酷になる。シフト作成など職場の理解必須。その上で、かなりシビアな体調コントロールが必要になるだろう。
こんなこと言っていて、大学院に行きたいって思う人が嫌になってしまってはこまる。なので、あえて言っておく。すごく楽しいところだ。過酷なスケジュールも同期と共有することで、一つの目標にむかう部活集団のような感覚を得る。同期といっても、新人看護師になった時のような歳の近い同期ではないかもしれないが、それがまた刺激になる。元気をもらえる。得るものが多いことに関しては、あえて触れる必要はないだろう。
大学院は辛いか
答えは簡単だ。結構辛いぞ。でもやる価値はある。
そんなことはわかっていたし、やってやれない辛さじゃない。理不尽な辛さじゃない。時間とともに何かを失っている気もするけど、得るものの方がはるかに大きい。すごく楽しい時間で、なんならこれがずっと続いていたら、なんて思ったりもする(半分本当)。
大学院を出た後に何があるのかはわからない。でも、看護師としてこの先も働いていくなら、こんなに楽しい経験をしない手はない。是非皆さんも苦しい時間をお楽しみください。
おすすめ!大学院生活を生き抜くための3つのもの:医療系(看護)大学院
大学院生活は辛くも楽しい日々の連続です。もっと短く表現するなら、「楽しい地獄」…少しでも効率よく時間を使うために、是非使って欲しい3つのものを紹介します。別に特別なものではありませんが、何かの参考になれば幸いです。
グーグルドキュメント
これがとにかく凄いんです。
優れている点は大きく2つあります。
①OCR機能が優秀
OCR機能というのは、画像データから文字列を認識し文字データに変換してくれる機能のことをいいます。
コピペしようと思ったけど、PDFのデータの文字が選択できない。という場合は、紙の資料をコピペしたいんだけど…といった時に役立ちます。
PDFはそのままグーグルドキュメントに突っ込めんばOK!
紙媒体の資料であれば、写真で撮るか、スキャナで取り込んだデータをグーグルドキュメントに突っ込めばOK!
グーグルドキュメントのOCR機能をONにすることで、文字データに変換することができます。
個人的には、Adobeの変換機能より優れているように感じます。
②編集画面の共有が秀逸
今回紹介するものの中で、これが一番びっくりしました。
グーグルドキュメントの編集画面には共有ボタンがあり、他のユーザーと編集画面を共有することができます。
どうゆうこと?と思う方は是非使ってみてください。
同じ画面を同時に複数人で編集することができます。
誰のカーソルがどこにあって、どんな変換をしているかもリアルタイムでわかってしまいます。
グループワークをするときなどに重宝し、LINEグループ通話などしながらだと自宅にいてもサクサクとグループワークができてしまいます。
大学院ではグループでプレゼンする機会も多いのですが、仕事や家庭がある人が多いので集まって作業をする時間は大変貴重です。
このツールがあればそんな悩みも少し解消するかも!
文献管理ソフト
これは前回紹介しました。大量の文献を簡単に、スマートに整理してくれて、文献の引用や引用文献リストの作成をサクッとこなしてくれる神のようなツールです。
気になる方は以下をご参照ください。
Dropbox(ドロップボックス)
非常に有名なクラウドソフトです。
無料アカウントを作ることで、一定量までならファイルをオンライン上に保存することができます。
最近は、iPhoneやMacユーザーが増えたので、iCloudでも同じようなことができます。
これで、USBを忘れた!とか、USBが壊れた…といった悩みから解放されます。
デメリットとしては、データを保存しているパソコンなどがない場合は、オンライン環境がないとデータの出し入れができないこと。でも、最近はどこでもWi-Fiあるし困らないなぁ。その他には、流出したら困るようなデータは念のためにアップロードしない方がいいってことぐらいでしょうか。
さらに!Dropboxが優れていると感じたのは、フォルダの共有ができるのです。
同期メンバーで共有したい資料などは全てDropboxの共有フォルダへGO!いつでもどもでも最新のファイルを共有することができます。
以上、少しでもお役に立てれば幸いです。
看護系(医療)大学院に入る前に知っておきたかったこと
大学院は忙しいです。
忙しいという表現が正しいのかはよくわかりませんが、とにかくやることがいっぱいです。
やることがいっぱいで大変と聞くと、課題が満載で辛いみたいなイメージがありますが、やらなければいけないことだけでなく、やりたいこともいっぱいになります。
もちろん課題もいっぱいでやらなければいけないことに押し潰されそうになりながら戦うのですが、様々な知識や考え方を知ると、どんどんやりたいことが出てきて、当然のように時間がなくなります。
それでも同期の存在に助けられ、時間は矢のように過ぎていきます。
本題に入りますが、大学院に入ってから、「知っておきたかった。。。」ということがありました。特に働きながら大学院に通うことを考えている方は必見です。
そんなことも知らなかったのかというツッコミは受け付けません笑
大学院に入る前に知っておきたかったこと
ずばり、科目履修制度です。
科目履修制度というのは、簡単に説明すると、大学院の課程に入学するわけではなく、受けたい科目だけ履修することができる制度です。大学によって差はありますが、科目履修制度を取り入れている科目といものがあります。
何がいいのかというと、入学する前に、予め単位を取得することが可能です。この単位を、入学したあとに履修した単位として申請することで、入学後の忙しい時期にその講義をパスできるのです。
私は知りませんでしたが、毎年何人か科目履修で受講している人がいるようです。そして、次の年に入学する。入学した時にはその科目の単位は持っているわけですから、人より少しゆとりができるわけです。やりたいことをする時間が増えるわけです。働きながら通う人なんて勤務調整だけで大変です。でも、科目履修しておけばそんな負担も少し軽減でき、職場の人に迷惑をかける割合も軽減できるかもしれません。
詳しくは希望する大学に確認してみてください。ホームページに掲載している大学もあると思います。個人的には興味がある科目でもいいと思うのですが、重そうな科目を先に履修しておくことをオススメします。まぁそういう科目も同期との団結を強める要因になると思うので、みんなで辛い時期を共有するのもいいかもしれませんが笑
ここからは、個人的な、本当に私見にすぎないのですが、科目履修しておいた方が受験に有利な気もしないでも無いです。関係ないかもしれませんが…。事前相談などすることで、するーっと入れる印象もあったりなかったりしますが、落ちる人は落ちますしね。
それでは皆さん、楽しく激しい部活みたいな大学院生活を満喫しましょう。
抗酸化作用?:何かと話題の【水素】の可能性②
前回に引き続き、医療用ガスとしての水素について考えていきたいと思う。
水素は悪い活性酸素だけやっつけるヒーローなのだ
まず、細胞に3種類の別々の方法で酸化ストレスを与え、水素による影響をみたようだ。水素は細胞へのダメージが強い活性酸素(ヒドロキシルラジカル)を還元することで細胞を保護することがわかった。更に、もともと細胞保護に努めている生理的な活性酸素には影響がなかった。敵だけ退治して、見方には手を出さなかったというと当たり前な気もしてしまうが、体の中でそれができるやつを探すのは大変なことだろう。
この研究には続きがあって、ラットの脳の一部を虚血状態にしてから再還流させることで、酸化ストレスによる脳損傷を誘発する。そこに、水素ガスを吸引させるとなんとびっくり、酸化ストレスの影響が緩和され脳損傷を予防することができた!ということのようだ。ラットさんおつかれさま。
水素が培養した細胞やラットに対して何やらいい効果を発揮したことがわかった。だったら人間にもいいんじゃん!ってことにいきなりなったりはしない。そこで、人間に対しても実験して見たというのが次の報告だ。
心停止後症候群(PCAS)に対する水素ガス吸引の可能性と安全性
この研究では、心肺停止状態から心拍再開に至った5人の患者に対して水素吸入と目標体温管理(TTM)を実施したところ、4人は昨日予後が良かったですよということらしい。ここで大事なのはどうやら有害事象は起こってないようだということ。5人中4人の予後が良かったわけだが、TTMの効果かもしれないしそれ以外の要因かもしれない。とりあえずもう少し大きなデータを取る必要があるけど、とっても良さそうだということはわかったみたいだ。
対象となった患者は
上記の画像は文献の中身だ。少し細かく結果を見てみると、転機が良かった患者の年齢や疾患は様々。いずれも目撃者あり。バイスタンダーCPRは1名だけ無かったようだ。しかし共通して初期波形がVFであり、Asysだった一人は90日を迎えることはできなかった。蘇生後のGCSは3−7。と考えるとすごく条件がいい患者が集まったわけでもなさそうだが、すごく悪いわけではなさそうだ。
いずれにしても90日後にはCPC1だったということは、完全復帰を意味しているし、水素ガス吸引が目立って悪さをしているとは思えないといったところだろうか。
基礎研究の結果から素人目線で考えるとTTMとセットでという未来が思い描ける気もする。心拍再開後の治療の大きな変化となるのか、水素ガスの今後が気になるところだ。
抗酸化作用?:何かと話題の【水素】の可能性
健康アイテムとしての水素
水素水や水素サプリ?など悪玉活性酸素がどうなって、アンチエイジング効果が!などを耳にする。がんにも効果があるような広告を出している企業もあるとかないとか…まだまだ未知の部分も多い領域だと思うので、本当にそういった効果があればいいが。
健康ブーム?もあってか、芸能人も使ってますよ!なんて言われると気になっちゃうし、ジムなんかでは入会時に○ヶ月無料で飲めます!みたいなのもあり、健康にいいならやってみるかと気づいたらお金を使っていたりする。
水素水に関しては、2016年12月には国民生活センターが水素水の商品テストを実施し、表示より水素濃度が低かったとか、2017年3月には消費者庁が水素水を販売する3社に措置命令を出したとか。ダイエット効果や炎症の抑制などを広告で謳うには根拠が薄いってことみたい。
前振り長くなりましたが、今回は健康のための水素水の話!ではなく、患者さんに水素ガスを吸引させたらいいんじゃないかという報告をみつけたので、簡単にまとめてみたいと思う。
水素ガスの安全性
水素と聞くと、中学校の実験を思いだす。マグネシウムと塩酸を混ぜ合わせて、発生した気体を水上置換法でガラス管に集める。ガラス管にマッチを近づけると、引火してポンッと爆発が起きる。そうだ。水素は爆発して水と酸素を作るんだった。
ここで疑問が生じる。医療用に水素ガスを使用するとして、安全なのか?爆発するんじゃない?答えとしてはその通りで、爆発する可能性がある。どうやら水素ガスが4%以上の気体に点火すると爆発するようだ。水素の効果を最大限に引き出すためには2%程度の濃度が必要であり、爆発までそう遠くない。
酸素や圧縮空気とブレンドして送気するにしても、患者がうまく吸ってくれなかったりすると一部では水素濃度が濃くなってなんかの拍子に爆発なんてことも無くはない。その辺のモニタリングや調整も必要になるだろう。NOの吸引のようにできるのだろうか?
医療用ガスとしての水素ガスの可能性
過剰な酸素吸引が有害だという話は結構有名ではないだろうか。酸素毒性とかいうやつだ。酸素が代謝される過程で活性酸素というものが生じるらしい。活性酸素にはいくつか種類があり、普段は細胞を保護しているが、増えすぎると細胞にダメージを与えてしまうということだ。ひとくくりに活性酸素と言っても、良い奴と悪い奴がいる。人間みたいなものか。
活性酸素のうち、細胞にとって悪いことをしている活性酸素の働きを、水素によって抑制できるという報告が2007年に日本人によって発表された。ここから大水素時代の始まりだ。水素ブームに火を付けたのは日本人だったとは。爆発するぞ。
ということで、次回は、実際に研究の中身をみていこうと思う。
重度意識障害(昏睡)患者のリハビリ③
前回、前々回と意識障害のリハビリについて考えたが、寄り道ばかりでなかなか答えにたどり着かない。ということで引き続き考えて見たいと思う。
AHA/ASA guideline
米国心臓協会(AHA)と米国脳卒中協会(ASA)のGuidelines for Adult Stroke Rehabilitation and Recoveryにおいても、重度の意識障害患者に対する示唆はされていない。
ここでは、2009年の早期リハビリに関するシステマティックレビューが紹介されており、早期リハビリの根拠を示せなかったとしている。また、AVERT studyでは3ヶ月予後の優位な低下が示されていることを取り上げた上で、リハビリの早期導入は世界的に推奨されているとしている。van Nesらによる全身体性感覚刺激に関する報告(2006)では、優位な回復を示さなかったとしている。
EBRSR
今回調べている中で、EBRSR : Evidence-Based Review of Stroke Rehabilitationに出会った。脳卒中リハビリの知見を集積し、レビューしているカナダの組織。
ここでは、重度脳卒中のリハビリテーションは重大な課題であるとしている。理由として、最も大きな障害を持つがリハビリテーションの可能性には限界があり、中等度脳卒中患者と比較して機能的な改善が得られにくく、さらには費用対効果の問題もあると。
エビデンスレベルの高い研究をするためには、規模も大きくなりその分コストもかかる。知りたいことは山ほどあっても、優先される課題とそうでないものが出てきてしまうのはしょうがないことなのか。
少し考え方を変えて見たいと思う。人間はどのように意識を保っているのだろうか。
意識を司るもの
人間は、脳幹にある網様体賦活系(RAS : reticular activating system)が機能することで覚醒を維持している。脳幹にある網様体が視床などと連携し大脳皮質に刺激を送っている。この網様体賦活系を刺激することで、覚醒を促すことができるのではないかと考えられている。
なるほど。これが身体を刺激して、意識を回復させようとする試みの根源か。
床に足をつけるということ
これも話には聞いたことがあるけどよくわからなったこと。2足歩行の人間にとって足底は唯一床と接する面であり、バランスを保持するために多くの感覚情報を得ているそうだ。床に足をつけるという行為が足底にある機械受容器(メカノレセプター)を刺激することで、大脳皮質を活性化させようということらしい。
この辺で終わりにしようと思う。
脱線しながら、結局知りたいことは知れなかったような気がするが満足した。
調べて行く中で、重度意識障害患者にリハビリをしてどうだったとか、刺激をしてどうだったとかいう症例報告や規模の小さい報告はあった。なんとなく大事だと言われている理由もわかった気がする。ガイドラインで、はっきりしていないのはそういうことだったということだろう。