最近よく聞くリフレクションとは
最近ブームになっているリフレクション。今回はそんなリフレクションとやらについて考えてみたいと思います。
リフレクションとは自分と向き合うこと
そもそもリフレクションとは、【reflection = 反射】という言葉が表すように、鏡に反射する自分と向き合うように、自分を見つめる行為を指します。日本語では『省察』とか『振り返り』などと訳されており、経験したことを意識的に知識にしましょうという取り組みのことです。
机上の学習は大事ですが、勉強のために勉強しているわけではないし、それを如何に実践に活かすかというところが一番難しかったりしますよね。また、百聞は一見に如かずじゃないですけど、何度勉強してもなかなか覚えられないことでも、実際に経験することで自分のものに出来た!という経験は誰にでもあるはず。そんなことからも、なんだかリフレクションに興味が湧いてくるのであります。
意識的に経験した自分と向き合うことで身に付く経験知
リフレクションは、もともと教育学の分野で開発されたものが看護分野でも使用されるようになったようです。以下に、Kolbの経験型学習モデルを提示します。
① 具体的経験 …経験を想起する(今の能力を少し超えるような経験がベスト)
② 内省的観察(リフレクション) …なぜ、どうしてそうなったか、とことん考える
③ 抽象的概念化(気付きを引き出す) …他の事例でも活用できるようにする作戦を練る
④ 能動的実験(気付きを行動に適用する) …経験を生かして実践する
⑤ ①→④を繰り返す
このモデルは、一連のプロセスを繰り返し経験することで、意識的に経験から経験知を得ることが出来るというものです。経験から得られる知識を意識的に積み重ねていくために行うものとされています。
思いを引き出し、その人の信念の根拠を評価する
リフレクションで特徴的だと感じたのは、行為について考える際に、行われた事実だけではなく、「なぜそれをしたか」「なぜそれをしようと思ったか」「その時どんな感情を抱いたか」など、感情を含めてとにかく自分のことを経験まるごと見つめる作業だということです。自らに問い続けるってすごく疲れそうです…。しかし、感情や想いといったものが抜けてしまっては、機械的な作業を振り返るだけになり、次に似たような場面に出くわしても応用できず、機械的に対応するだけになってしまっては残念ですよね。
看護における振り返りとリフレクションの違い
リフレクションを振り返りと捉えることもできますが、それはReflection on actionという考え方で、看護行為を振り返り、分析し解釈するプロセスを指します。その他には、新たに起こった事柄について考える、Reflection in actionという考え方があり、この二つの連鎖が経験学習の質を向上させるようです。
リフレクションでは、良いことも悪いこともすべての事象について考えます。人は失敗から学ぶという考え方もあるかもしれませんが、私としては、成功から学べた方が楽しく働けそうなので、良かったことも存分にリフレクションして強化出来ればいいな。
リフレクションは安全な環境で
自分では気づけない部分も多く存在すると思います。他人にリフレクションの過程に入ってもらい、気づいていない視点などに気づかせてもらうといいみたいです。しかし、とにかく自分をさらけ出して考える必要があるため、先輩が良かれと思って後輩のリフレクションをファシリテートしたが、後輩は本音を話せなかった…なんてことがあってはいけません。誰とリフレクションするかも大切ってことですね。
看護で使えるリフレクション
最後にリフレクションをどのように行えばいいのか、Kolbの経験型学習モデルを参考に開発された、Gibsのリフレクティブサイクルを使って考えてみます。
① 経験の想起・描写 :何が起こったのか、患者の状況や環境を記述する。
② 感覚・感情の表出 :そのとき、何を感じていたかを記述する。
③ 評価・推論 :良かったこと・良くなかったこと、なぜそのようにしたか、感情や行為の影響についても考える。
④ 経験の分析 :他に方法がなかったか検討する。
⑤ 評価 :この経験から、自分や他人、減少について気づいたこと、学んだことは何か考える。
⑥ 行動計画 :自分はどのような学びが必要で、どのように学習するかを考える。
⑦ ①から⑥を繰り返す
おわりに
今回は、最近よく耳にするリフレクションについて考えてみました。安全な環境でその時の想いや感情について考え、じっくりと自分と向き合うなかで、自らの行為の裏にある信念と向き合っていければなと思います。